「ダブルケア」という言葉を初めて聞いた方も、
自分がそうかもしれないと感じている方も、
ここに来てくれてありがとうございます。
この記事では、第一子生後1ヶ月から7年以上ダブルケアを続けてきた私が、
定義だけでなく「実際のところどうだったか」を正直に書いています。
▶プロフィール
ダブルケアとは
「育児」と「親・親族の介護」が同時期に重なる状態を指す言葉です。
介護する相手は親だけとは限りません。私の場合は祖母です。
祖父母、配偶者の親、きょうだいの介護をしながら子どもを育てている場合も、ダブルケアにあたります。介護保険を使っているかどうかも関係ありません。
内閣府が2016年に公表した調査では、ダブルケアをしている人は国内に約25万人いると推計されました。
ただし、これは2012年の就業構造基本調査など、当時の公的統計をもとにした推計です。現在の人数を示したものではありません。
▶ 内閣府「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」について
私自身、「ダブルケア」という言葉を知ったのは、第二子が産まれたあとのことでした。
友人からの年賀状に
「ダブルケア大変だと思うけど、身体に気をつけてね。」
と書かれていて、初めてその言葉を知りました。
そのとき、
「あ、これに名前があったんだ」と思ったのを覚えています。
看護師×3児の母が経験しているダブルケアの実態
私は、第一子が生後1ヶ月のときから
祖母との同居と在宅介護が始まりました。
現在は子どもが3人になり、6人家族で生活しています。
祖母は同居前、認知機能の低下はあったものの
身の回りのことは自分でできる状態(要介護1)でした。
入浴だけはデイサービスでお願いしていました。
その後、転倒による骨折や脳梗塞を経て、
現在は要介護4。
ベッド上での生活が中心となり、
移動は全介助で車椅子を使用しています。
看護師として働いてきた経験があるので、
介護の知識はある方だと思います。
それでも、自分の家族のこととなると、全然違いました。
ダブルケアは、介護と育児を足しただけではなかった
ダブルケアで一番大変なのは、
トラブルが重なることです。
例えば
- 夜中に子どもが泣いていると思ったら、祖母も起きて外に出てしまった。
- 子どものイヤイヤのピークと、デイサービスの送迎が重なった。
- 家族の誰かが体調を崩すと、一気に全員にうつっていく。
こういうことが、普通に起きます。
やるべきことが一気に増えると、
メンタルはかなり削られます。
自分が風邪で倒れると、介護も育児も止まります。
誰もやる人がいなくなるのです。
自分が倒れたときのことを書いた記事はこちら
▶7|私が倒れたら、我が家は回らない
また、子育て、介護、家事、仕事とタスクが多く、
自分の時間は「絞り出すもの」でした。
「ゆっくりお茶を飲む」
それだけのことが、できない日もありました。
一番つらかったのは、祖母が動けた頃だった
私は同居を始める前、
「祖母が自分のことをできなくなったら、施設を考えよう」
と思っていました。
介助量が増えたときが、いちばん大変になると思っていたからです。
でも、実際は違いました。
私がいちばんつらかったのは、祖母が自分で歩き回れていた時期です。
同じ質問を何度も繰り返す。
冷蔵庫や棚を開け、食べ物を探す。
外へ出ていこうとする。
止めても、そのやり取り自体を祖母は忘れてしまいます。
自分で動けるからこそ、常に今どこにいるのか、何をしているのかを気にする必要がありました。
現在は、おむつ交換や車椅子への移乗など、身体的な介助は増えています。
それでも精神的には、今のほうが楽です。
介護の大変さは、要介護度や介助量だけでは測れないのだと思います。
“動ける認知症の時期”の様子は、こちらの記事でも書いています
▶祖母を「汚い」と思ってしまった私|産後メンタルと在宅介護で悩んだ気持ち
▶動ける認知症が一番つらかった|在宅介護でしんどかった時期の話
介護量が増えた生活の様子は、こちらの記事でも書いています
▶6|祖母のベッドは子どもたちの遊び場だった
祖母の介護をしてよかったこと
大変なことばかりではありません。
子どもたちは祖母のことが好きで、
それが日々のモチベーションにもなっています。
「ばあちゃん100歳まで生きてほしい」
「6人家族になったね」
そんな言葉を聞くと、
続けてきてよかったと思えます。
また、介護を通して
- 人は老いること
- できていたことができなくなること
- そしていつか亡くなること
を、子どもたちは自然に受け取っています。
これは、私が伝えたかったことのひとつでもあります。
現実的な話をすると、
祖母の年金が家計の支えになっている部分もあります。
これからダブルケアを始める人に、簡単には勧められない
もし今、
「親や祖父母と同居して、育児をしながら介護しようと思っている」
と相談されたら、私は簡単に「大丈夫だよ」とは言えません。
平和に暮らせていても、転倒や病気ひとつで生活は変わります。
育児は、子どもの成長とともに少しずつ変化していきます。
一方で介護は、いつ、どのように状態が変わるのか予想できません。
始める前に、少なくとも次のことは話し合ったほうがいいと思います。
- 主に介護するのは誰か
- 夜間の対応は誰がするのか
- 介護する人が病気になったらどうするか
- デイサービスやショートステイを使えるか
- 子どもの生活に影響が出たとき、どうするか
- 在宅介護を続けられなくなった場合、施設を検討できるか
わが家では、
「子どもが幸せでなくなるなら、介護は続けない」
という基準を決めました。
実際には、どこまでが大丈夫で、どこからが無理なのか、簡単には判断できません。
それでも、子どもを後回しにしてまで介護を続けないことは、今も変わっていません。
どこに相談すればいいか
ダブルケアは、家族だけで抱えると行き詰まります。先に窓口を知っておくと、いざというときに動きやすくなります。
- 地域包括支援センター|介護のことの入口です。まだ介護保険を申請していなくても相談できます。場所は市区町村の窓口で教えてもらえます。
- 担当のケアマネジャー|すでに介護保険を使っているなら、まずここへ。
- 市区町村の子育て支援の窓口|育児側の負担が重いときは、こちらも一緒に。自治体によっては、ダブルケアの相談窓口を設けているところもあります。
わが家も、デイサービスとショートステイを組めるようになってから、ずいぶん楽になりました。
私はダブルケアを後悔していない。でも、誰にでも勧めたいとは思わない
祖母との同居や在宅介護を後悔しているかと聞かれたら、答えは「いいえ」です。
大変なことはありますが、現在、私たち家族は穏やかに暮らせています。
ただ、わが家で続けられているからといって、誰にでも同じ選択ができるとは思いません。
家族の人数、仕事、家の広さ、介護する人の体調、利用できるサービスによって、状況は大きく変わります。
在宅介護を選ばないことも、途中でやめることも、その家族にとって必要な選択だと思います。
このブログでは、うまくいったことだけでなく、祖母を汚いと思ったこと、怒鳴ったこと、介護をやめたいと思ったことも書いています。
子育てと在宅介護が同時に始まった、私のダブルケアの記録はこちら
▶なめていた私のダブルケア【体験記】まとめ
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