「汚い」
こんなこと、言えるわけがないと思っていました。
大好きな祖母です。
一緒に暮らすことも、自分で決めました。
それなのに「汚い」と感じてしまった。
その気持ちをずっと、誰にも言えずにいました。
家が完成するまでの間、1LDKのアパートで祖母と同居していたときのことを、正直に書きます。
▶プロフィール
祖母を「汚い」と思うなんて考えもしなかった
私はもともと大雑把な性格です。
看護師として働いていると潔癖な同僚はちらほらいて
そんな同僚を見て、「なんでそんなに気にするんだろう」と思うタイプでした。
祖母は、
もともとは厳格な人でしたが、年を重ねるにつれて丸くなり、
「ぽにょんとした かわいい おばあちゃん」という印象でした。
夫に同居の提案をしたときも、そのように説明していました。
一緒に暮らすといっても、がっつり介護をするというよりは、
祖母のペースで生活しているのを見守るくらいのつもりでした。
だからこそ、
「自分のことができなくなったら施設に入れる」
それを条件に同居を決めました。
まさか、あんな気持ちになるとは思ってもいませんでした。
きっかけは些細なことだった
きっかけは、トイレの臭いでした。
サニタリーボックスに、大量のトイレットペーパーが入っていたのを見て、
祖母のトイレの様子を確認しました。
すると、20cmもないくらいの短い紙で拭いていました。
「絶対、手に尿がついている」
そう思いました。
さらに、そのあと手を洗う様子を見ると、
第一関節が少し濡れる程度。
濡らしているだけじゃないかと思うくらいでした。
その瞬間、一気に
「汚い」
と思ってしまいました。
本当は、人のことは言えません。
自分自身も、さっと手先だけ洗って終わることはあります。
それでも、あのときは異常に気になってしまいました。
そこから、
- この手はきれいなのか
- この服はきれいなのか
- この布団はきれいなのか
どんどん気になるようになっていきました。
我が家でしている臭い対策についての投稿はこちら▶
介護の部屋の臭い対策|看護師が在宅介護で本当に効果があったものを紹介
だんだん無理になっていった
祖母が触れたものが気になるようになりました。
少しかじったお菓子も、
「汚いもの」と感じてしまう。
今まで気にしたことなんてなかったのに。
子どもに触れてほしくないと思うようになり、
触ったおもちゃを消毒するようになりました。
少しずつ、距離ができていきました。
自分でも、おかしいと思っていました。
でも止められませんでした。
産後の自分の変化
当時は、本当にいろんなことが気になっていました。
初めての育児に必死で、
子どもにとって良い環境を保とうとする気持ちが強かったと思います。
今思い返せば、かなり神経質になっていました。
もともとは大雑把な性格だったのに、
この時期はまるで別人のようでした。
産後で心身に余裕がなく、赤ちゃんの清潔を守ろうとする気持ちも強くなっていました。そのことも、祖母の行動を必要以上に気にしてしまった理由の一つかもしれません。
介護と育児の相性の悪さ
育児は、哺乳瓶やおもちゃなど消毒するグッズがあったり
洗濯物も大人のものと分けるように書かれていたり、
清潔を求められることが多くあります。
介護には、排泄などきれいではない部分が多くあります。
その両方が、1LDKの空間に同時に存在していました。
当時は家の建て替えのため、
祖母・夫・赤ちゃんの4人でその狭い空間にいました。
距離を取ることもできませんでした。
ショートステイなどを利用することも考えましたが、
「逃げているような気がする」と思ってしまい、できませんでした。
祖母の家を壊してしまったこともあり、
せめてデイサービスには通わせてあげたいという気持ちもありました。
今なら、外部のサービスを使ってもよかったと思います。
でも、当時の私はそう思えませんでした。
家が完成するまで、耐えるしかありませんでした。
はじめてショートステイを利用したときのことをまとめています▶
ショートステイを初めて使った日|罪悪感と、楽さと、「おかえり」と思えるまで
新築になって、少しだけ楽になった
新しい家が完成すると、祖母には祖母の部屋ができました。
けれど、祖母は自分の部屋ではなく、相変わらずリビングで過ごしたがりました。
家を建て、部屋や動線を整えても、認知症による行動まで変わったわけではありません。
新築になったからといって、安心して暮らせるようになったわけではありませんでした。
それでも、1LDKのアパートにいた頃とは違いました。
全員が同じ空間にいるしかなかったアパートと比べれば、家の中には広さがあり、私が祖母から少し離れられる場所もできました。
祖母を「汚い」と感じる気持ちが、きれいになくなったわけではありません。
介護そのものが楽になったわけでもありません。
ただ、祖母とずっと同じ空間にいなくてよくなったことで、衛生面に対するしんどさは少しましになりました。
新築後も続いた認知症介護については、体験記(全13話)にも書いてあります▶
4|新築でも、安心は手に入らなかった
同じように感じている人へ
家族を「汚い」と思ってしまうと、自分を責めたくなるかもしれません。
私も、祖母にそんな気持ちを持つ自分が嫌でした。
でも、距離を取れない生活の中で、排泄や衛生面をずっと気にしながら暮らしていれば、嫌になることもあります。
すぐに住む場所を変えたり、別の部屋を用意したりできる人ばかりではありません。
私自身、アパートにいた間は、どうすることもできませんでした。
だから、簡単に「距離を取りましょう」「誰かに頼りましょう」とは言えません。
ただ、「汚い」と思ってしまうのは、相手を大切に思っていないからではありません。
自分の気持ちを変えようとするよりも、少しでも離れられる時間や場所が必要なこともあります。
まとめ
私は、大好きな祖母を「汚い」と思いました。
産後の心身の変化だけでなく、赤ちゃんとの生活と祖母の介護が、1LDKの中に同時にあったことも大きかったと思います。
アパートにいた間は、耐えるしかありませんでした。
新築になり、祖母と生活空間を分けられるようになって、ようやく少し楽になりました。
あのときの私に必要だったのは、考え方を変えることではなく、祖母と少し離れられる場所だったのだと思います。
「なめていた私のダブルケア」は
第一子出産後から始まった在宅介護と育児の記録(全13話完結)です。
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1|子どもが幸せでなくなるなら、介護はやらないと思っていた
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ダブルケア【体験記】

