夏休みが終わり、上の子が小学校に通い始めました。
小学校にもだいぶ慣れてきたようでホッとしている今、ふと思いました。
——この子が生後1ヶ月のときから、在宅介護が始まったんだよな。
当時は「介護といっても、5年くらいだろう」と、なんとなく思っていました。
それが、こんなに長く続くとは。
はじまりのことは、体験記の1話目に書いています。
▶1|子どもが幸せでなくなるなら、介護はやらないと思っていた
ダブルケアをしている間に、変わったこと・変わらなかったこと。それぞれあります。
今日は、その両方を書いてみようと思います。
▶プロフィール
ダブルケアを経験して変わったこと
知識の引き出しが増えた
看護師として新卒から10年以上総合病院で働いてきました。
介護保険のことや福祉のサービスについては、正直よく知りませんでした。
今もまだ勉強中です。
でも祖母を介護してきて、実際にサービスを調べたり使うことで少しずつ知識が増えました。
ケアマネさんや福祉の専門職の人たちと関わる中で、病院の中だけでは見えなかったことが見えてきました。
患者さんやそのご家族と話すとき、以前より引き出しが増えたと感じます。
「この方、退院後に困るだろうな」など、退院後の生活をより具体的に考えるようになりました。
介護する側の孤独や疲弊を想像して、それに応じた声かけを心がけるようになりました。
今は、退職してしまいましたが、また復職するときもこの経験を活かしていきたいです。
「人ってすごい」と思うようになった
看護師として働いていると、正直、俯瞰的に見てしまうことがあります。
「もうご飯は食べられないだろう」「もう話すことはできないだろう」——そういうマイナスの予測を、無意識にしていたところがあったと思います。
でも祖母を見ていると、そうじゃないと思わされることが何度もありました。
90歳を過ぎても、転倒や脳梗塞といった大きなイベントがあるたびに、少しずつ這い上がってくる。その生命力に、何度も驚かされました。
転倒して骨折したあと、また歩けるようになったときのことです。
▶5|転倒と骨折、それでもまた歩いた
認知症が進んでも、笑顔でいてくれる日がある。
失語症でもう喋ることはできない、と言われていたのに話ができる日がある。
医療者的には「変わりなし」の毎日だけど、「今日は調子がいい」と感じる日があります。
体の調子というものを、在宅介護で祖母を毎日みることでより感じるようになりました。
人ってすごい、と思えるようになったのは、祖母のおかげです。
死や老いへの向き合い方が変わった
以前は、認知機能が落ちていくことを純粋に「怖いこと」として見ていました。
でも今は、少し違う見方もできるようになりました。
もしかしたら、認知機能が少しずつ落ちていくのは、死を受け入れるための過程なのかもしれない。そう考えることがあります。
看護師として「死」に向き合うことと、家族として「死」に向き合うことは、全然違いました。
祖母と過ごす中で、それをじわじわと実感しています。
ダブルケアを経験しても変わらなかったこと
介護を理由に諦めたくない、という気持ち
介護をはじめたときから、ずっと変わらなかったことがあります。
「介護があるから〇〇できない」という考え方を、作りたくない。
介護される祖母にとっても、介護している自分にとっても、その思考はお互いに苦しくなる。
だから意識的に、そこには近づかないようにしてきました。
ただ、正直に言うと
——「介護があるから」を、やりたくないことを断る口実にしたことはあります。
大きな目標は諦めたくない。でも、気が乗らない小さな用事は、介護を理由にこっそり断る。
そのくらいの「ずるさ」は、自分に許してもいいのかもしれません。
欲しいものは、諦めない
3人目の子どもは、ずっと欲しいと思っていました。
でも夫と「ばあちゃんのことが落ち着いてから」とずっと話していました。
妊娠・出産、小さい子どもの育児。
大変になるのが怖くて、先送りにしていました。
でもあるとき、ふと思いました。
「介護はいつ終わりが来るか、分からない。自分も歳を取る。もし3人目を授からないまま終わったら、後悔する」
そう思って、妊活を再開しました。
介護を理由に、自分の人生を後回しにしたくなかった。
それは、8年目の今も変わらない気持ちです。
しんどいと、嫌いは別
介護をしていると、ふとひどいことを考えてしまう日もあります。
疲れ果てて、何もかも投げ出したくなる瞬間も。
それでも、祖母が嫌いになったかというと——そうではないと思います。
しんどいと思ったことは何度もあります。でも、続けてこられたのは事実で、それが答えなのかもしれません。
「しんどい」と「嫌い」は、違う。
介護をしている人に、それだけは伝えたいです。
ひどいことを考えてしまった時期のことは、こちらに書きました。
▶祖母を「汚い」と思ってしまった私|産後メンタルと在宅介護で悩んだ気持ち
8年目を迎えて、思うこと
介護は、自分を削るものだと思っていました。
でも今は少し違う気がしています。
削られた部分もあるけれど、介護があったから気づけたこと、持てた視点、感じられた感情もある。
祖母と過ごした時間は、私を強くしてくれたと今では思えます。
今までのことは、全13話の体験記にまとめています。
▶なめていた私のダブルケア【体験記・全13話】

