夏は暑いので、祖母には半袖を着てもらっています。
先日、祖母を車椅子へ移乗させていたとき、腕がアーム部分に擦れそうになり、ヒヤッとしました。
実際に傷ができたわけではありません。それでも祖母の薄い皮膚を見て、「少し擦れただけでも傷になってしまうかもしれない」と、あらためて気をつけなければと思った出来事でした。
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スキンテアとは?高齢者の皮膚が「裂ける」「めくれる」けが
高齢になると、皮膚は薄くなり、乾燥しやすくなります。若い人なら何ともないような摩擦やずれでも、皮膚が裂けたり、めくれたりすることがあります。
このような傷は「スキンテア(皮膚裂傷)」と呼ばれています。
介護中に起こりやすいのは、特別な場面だけではありません。
- ベッドや車椅子への移乗
- 衣服の着替え
- 入浴時の身体介助
- ベッド柵や車椅子への接触
- 絆創膏やテープを剥がすとき
いつもの介助のなかでも、皮膚を擦ったりぶつけたりする可能性があります。私がヒヤッとしたのも、毎日行っている車椅子への移乗でした。
じつはスキンテアの手引きがつくられたきっかけも、「絆創膏を剥がしたら皮膚が一緒にめくれてきた」「車椅子へ移乗するときに皮膚が擦れて裂けた」という、医療や介護の現場でくり返されてきた出来事でした。特別なことではなく、毎日の介助のなかで起きているということだと思います。
スキンテアの予防は5つ
「皮膚が弱いなら、長袖を着せればいいのかな」と最初に考えました。でも調べてみると、スキンテアの予防は「衣類の工夫」「環境整備」「介助方法」「スキンケア(保湿)」「栄養」の5つで整理されています。
長袖は、そのうちの1つでしかありませんでした。
①スキンケア|いちばん効くのは、毎日の保湿
意外かもしれませんが、いちばん基本になるのは保湿です。乾燥した皮膚は、それだけで裂けやすくなります。
- 保湿剤は1日2回が目安:入浴後と、もう1回。塗り忘れるなら、おむつ交換のタイミングに組み込むと続きます
- すり込まず、なでるように塗る:塗るときの摩擦でも皮膚は傷つきます
- 洗うときは、よく泡立てて:ゴシゴシ洗わない。熱すぎるお湯も皮膚の油分を奪います
長袖を1枚増やすより、保湿を1日2回続けるほうが効果は大きい。ここは順番を間違えないようにしたいところです。
②衣類の工夫|夏は「アームカバー」という選択肢
夏に半袖を選ぶのは、少しでも涼しく過ごしてほしいからです。ただ、半袖では腕の皮膚がそのまま出ています。
暑さと保護、どちらも譲れないときに使えるのがアームカバー(レッグカバー)でした。半袖のまま腕だけを覆えるので、脱ぎ着も一瞬です。移乗のときだけ着けて、終わったら外す、という使い方もできます。
もちろん、夏は暑さや熱中症にも注意が必要です。「高齢者は夏でも必ず長袖」と決めるのではなく、室温や本人の様子、介助の回数などに合わせて選ぶことが大切なのだと思います。
家の中では半袖、移乗や外出が多いときは薄手の長袖やアームカバーにするなど、場面によって使い分けてもよさそうです。
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③環境整備|皮膚ではなく、当たるもの側を覆う
これは私がいちばん抜けていた視点でした。守るのは皮膚だけではなく、ぶつかる側を覆うという方法があります。
- 車椅子のアーム・フットレストにカバーを巻く:私がヒヤッとした場所そのものです
- ベッド柵にカバーをつける:夜のあいだに当たっていることもあります
- ベッドまわりの動線に、ぶつかる角がないか見直す
暑い時期に衣類を足せないなら、こちらのほうが現実的かもしれません。福祉用具はレンタルで相談できるものもあります。
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④介助方法|つかまない、引っぱらない、そして介助者の手元
介助のしかたそのものも予防になります。
- 皮膚をつかんだり、引っぱったりしない:持つなら面で支える
- 移乗前に、腕や足が車椅子に当たらない位置にあるか確認する
- 急いで身体を動かさない:ずらすのではなく、浮かせて動かす
- 介助する側の爪を短く。指輪と腕時計は外す:見落としがちですが、介助者の爪や金具は皮膚を裂く原因になります
- テープは皮膚に直接貼らない:包帯や筒状ネットで留める。貼るならシリコーン系のものを選び、剥がすときはゆっくり水平方向に
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⑤栄養|皮膚をつくっているのは、食べたもの
外から守るだけでなく、皮膚そのものを強くしておくことも予防になります。低栄養だと皮膚は薄く弱くなります。ここは褥瘡の予防とまったく同じ話なので、別の記事にまとめてあります。
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長袖を着れば安心、ではない
長袖を着ていれば、皮膚への直接的な摩擦を減らせる可能性はあります。しかし、長袖だけでスキンテアを完全に防げるわけではありません。
5つの柱を知って、わが家で足りていなかったのは「環境整備」と「保湿の回数」だったとわかりました。衣類のことばかり考えていましたが、車椅子のアームにカバーを巻くほうが、この季節には合っていそうです。
あわせて、皮膚の乾燥や傷がないか普段から見ておくこと。介護に慣れてくると、移乗も毎日の動作の一つになります。だからこそ、ヒヤッとしたときに一度立ち止まり、介助の方法や衣服を見直すことが大切なのかもしれません。
傷ができてからではなく、その前に気づきたい
祖母の腕や足に、スキンテアを起こしたことは今のところありません。
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それでも、年齢を重ねた祖母の皮膚は、以前よりずっと薄くなっています。「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」とは限りません。
夏の涼しさを保ちながら、薄い皮膚をどう守るか。半袖とアームカバーを使い分けながら、移乗するときの腕の位置にも、これまで以上に気をつけていきます。
傷ができなかったヒヤリとした経験も、介護を見直すきっかけの一つになりました。
この記事は看護師としての経験と一般的な知識にもとづく、わが家のやり方です。皮膚の状態や適した保湿剤は、その方の状態や持病、飲んでいる薬によって異なります。
出血がある、皮膚がめくれて元に戻せない、赤みや腫れ・熱をもっているときは、自分で処置せず医療機関や訪問看護にご相談ください。めくれた皮膚(皮弁)は切り取らず、そのままにして受診してください。
スキンテアの予防と管理については、以下で確認できます。

