祖母の家は、築70年くらいだったと思います。
祖母と祖父が結婚してから、ずっとその家に住んでいたのだと思います。
その家を壊して、私たちは新しい家を建てました。
▶プロフィール
祖母の言葉「もったいないからいい」
建て替えの話を最初にしたとき、祖母には断られました。
「もったいないからいい」「まだ住めるから」。そんな内容だったと思います。
それでも私は押しました。最終的に、こう言ってもらいました。
「好きにすればいいよ」
了承、というより、譲ってもらったのだと思います。
リビングを、気に入ってくれた
新しい家ができて、祖母はリビングを特に気に入ってくれました。
「格好がいい」
そう言ってくれました。
そのリビングに、ベビーゲートをつけた
まだふらふらと歩けた時期、祖母は冷蔵庫のものを勝手に食べてしまうことがありました。
私はそれが嫌で、リビングに入れないようにベビーゲートをつけました。
気に入ってくれた場所から、締め出したことになります。
転んで、車椅子になった
そのあと、祖母は転倒を繰り返しました。車椅子を使うようになりました。
その頃から、考えるようになりました。
もとの家だったら、転ばなかったのかな。まだ、元気でやっていたのかな。
ばあちゃんは、家を建て替えないほうが幸せだったのかな。
あとから聞いた、ひとこと
ずっとあとになって、母から聞いた話があります。
認知症の兆しが出はじめた頃、祖母は毎日のように母に電話をかけていたそうです。
そして、こう言っていたと。
「さみしい」
私は、それを知りませんでした。
もとの家に住み続けていたら幸せだった、と考えていたけれど、あの家で祖母は毎日さみしいと言っていた。
どちらがよかったのかは、やっぱり分かりません。
分からないから、できることをする
もう、建て替えてしまったものは変えられません。
だから最近は、こう考えるようにしています。
「建て替えてよかったのだろうか」と考えるのではなく、「この家族と一緒に住んで楽しい」と思ってもらえるように。
誕生日をお祝いする。敬老の日を祝う。毎日「おはよう」「おやすみ」と話しかける。
どれも、一人暮らしではできないことです。
建て替えが正しかったのかは、いまでも分かりません。それでも、できることを続けていきたいと思います。
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