エンシュアが一律に保険適用外になったわけではありません。2026年6月から、入院中以外の患者に栄養保持を目的とした医薬品を処方する際の、保険算定の条件が見直されました。
わが家では2026年7月、摂食・嚥下の問題で通常の食事では代替しにくいという理由を処方箋に記載してもらい、祖母のエンシュアを処方してもらうことができました。この記事では、改定後の条件と、改定前から相談してきた経過をまとめます。
改定前、訪問診療の先生から突然言われた。
「6月からエンシュアが保険適用外になるかもしれません」
どういうことだ?と思いました。
祖母は毎日エンシュア・Hを1〜2本飲んでいます。
食事もとっていますが、エンシュアで栄養バランスが整っているおかげで、
食事は「本人が食べたいもの・食べられそうなもの」を優先できている。
エンシュアがあるから、食事の栄養バランスを厳密に考えなくていい。
介護する側にとっても、される側にとっても、なくてはならない存在になっています。
それが保険適用外になるかもしれない。
いったい何が変わるのか。
自費になったらいくらかかるのか。
代わりになるものはあるのか。
同じように在宅介護でエンシュアを使っている方に向けて、調べたことをまとめます。
▶プロフィール
エンシュアって何?
エンシュア・Hとは、飲むタイプの栄養補助食品(医薬品)です。
1缶250mlの中に、たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルなど必要な栄養素がバランスよく含まれています。
在宅介護の現場では、こんな方によく処方されています。
- 食事の量が減ってきた高齢者
- 嚥下(飲み込む力)が弱くなってきた方
- 脳梗塞後などで食欲が落ちている方
- 低栄養が心配な方
ちなみに、嚥下が弱くなって液体のエンシュアそのものが飲みにくくなった場合は、ゼリーに固めて食べやすくする方法があります。わが家で実際に作っていたレシピはこちらです。
▶エンシュアゼリーの作り方|材料3つと、あとから知った注意点
医薬品として処方されるため、これまでは保険適用で手に入れることができました。
2026年6月から変わった保険算定の条件
入院中以外の患者への処方では、次の場合に所定の記載をして保険算定できます。
① 手術後の場合、② 経管栄養を行っている場合
その状況を処方箋と診療報酬明細書に記載します。
③ 食事による栄養摂取が難しい場合などで、医師が投薬を必要と判断した場合
食事だけで栄養をとることが困難な場合、またはそれに準じる場合に、投薬が必要な理由を処方箋と診療報酬明細書に記載します。
対象はエンシュア・H、エンシュア・リキッドだけではありません。厚生労働省の疑義解釈では、イノラス配合経腸用液、エネーボ配合経腸用液、ツインラインNF配合経腸用液、ラコールNF配合経腸用液も挙げられています。経口摂取という理由だけで、一律に対象外になるわけではありません。
※2026年9月6日訂正:以前の「経口摂取で保険適用の余地があるのはエンシュアのみ」という説明を、厚生労働省の資料に基づいて訂正しました。
実際に先生に確認してみた
ここからは改定前に、訪問診療の先生と薬剤師に相談したときの記録です。2026年7月の処方結果は、この後に記載しています。
「必要性を処方箋に記載して出してみるが、保険適応にならないかもしれない」
つまり、出してみないとわからないという状態。
薬剤師に確認すると、
「医師から処方箋があれば処方される。
ただ、保険適応外と判断された場合、医師に連絡が行き処方できなくなるかもしれない。」
つまり、処方されたとしても後から保険適用外と判断されると、
医師への連絡が入り次回から処方できなくなる可能性があるということ。
【2026年5月追記】
厚労省から、経口的栄養補助での「投薬理由」の参考例が公式に示されました。
主治医に相談する際、以下の理由が当てはまるか確認してみることをおすすめします。
投薬理由の参考例(厚労省より)
- 水分摂取制限が必要な場合(心不全や腎不全を合併している患者など) 「水分摂取制限下で通常食代替困難のため、栄養保持目的で処方する」
- 安静時エネルギー消費量が亢進している場合(熱傷患者、感染症を合併している患者など) 「安静時エネルギー消費量亢進下で通常食代替困難のため、栄養保持目的で処方する」
- 投与容量を減らしたい場合(容量依存性の腹部膨満感を訴える患者など) 「腹部膨満感で通常食代替困難のため、栄養保持目的として処方する」
- 摂食嚥下機能障害がある場合 「摂食不良(or 嚥下困難)で通常食代替困難なため、栄養保持目的として処方する」
これらはあくまで参考例です。
最終的な判断は主治医に委ねることになりますが、相談の際にこれらの理由が当てはまるかどうか確認してみてください。
この時点では、祖母に4つ目の理由が当てはまるか訪問医に相談しようと考えていました。
【2026年7月追記】
処方箋に4つ目の理由で記載してもらい、問題なく処方してもらうことができました。
また、ラコールなど他の栄養剤も医師のコメント次第で処方してもらえる可能性があるとのことです。一度、主治医に確認することをおすすめします。
保険適用外になった場合の費用は?
ここでは、1本228円と仮定して薬剤分だけを試算します。実際の自費の支払額は医療機関・薬局に確認してください。
1日2本飲む場合の月額計算はこうなります。
- 228円×2本×30日=月13,680円(約1.4万円)
保険が適用される場合の自己負担と、全額自己負担では家計への影響が大きく違います。上の金額は、実際の請求額を示すものではありません。
在宅介護を続けながらこの金額を毎月出し続けるのは、家計への打撃も大きいですね。
代替手段はある?
保険適用外になった場合に備えて、市販の栄養補助食品も調べてみました。
メイバランス(明治)
メイバランスミニカップ2本(125ml×2=250ml)とエンシュア・Hのカロリーとタンパク質量はほぼ同じ。
ソイラテのようなほんのり豆っぽさのある味がしました。
後味に、鉄っぽさを感じるのはエンシュアと同じ。
(鉄分やミネラルが入っているため、そのように感じやすいのかもしれません。)
エンシュアよりさっぱりとしていて飲みやすかったです。
(脂質がエンシュア・Hの半分以下なので、その違いかもしれません。)
アイソカル(ネスレ)
アイソカル1本(100ml)で200kcal、タンパク質8gとエンシュア・Hよりも高カロリー・高タンパクです。
アイソカルゼリーを食べてみました。
コーヒーというより、「プリンの底のキャラメル」のような味。
最初はとても食べやすいのですが、
食べ進めると、少しねっとりと重たく感じました。
個人的には、メイバランスの方が摂取しやすかったです。
味の種類もいろいろあるので、
「これなら飲める」というものを探してみるのもいいかもしれません。
▶栄養剤以外に食事を準備することが大変なときは、宅配食が便利です。
産後1ヶ月で介護がはじまった私が、【ワタミの宅食】に救われた話
まとめ
制度が変わっても、祖母の栄養は守りたい。
我が家にとって、エンシュアは「栄養を守るための大切な手段」になっています。
改定前は、保険が使えなくなるかもしれないと不安でした。7月には処方を受けられましたが、これからも状態に合わせて主治医に相談していきたいです。
でも今できることはあります。
・主治医に、今の食事量や飲み込みの状態を伝え、保険算定の条件に当てはまるか確認する
・代替品が必要な場合は主治医・管理栄養士に相談する
一緒に情報をアップデートしながら、乗り越えていきましょう。
この記事が同じような状況の方の参考になれば嬉しいです。
同じく2027年3月から負担が増える予定の薬があります。
保湿剤として在宅介護でよく使われるヒルドイド(ヘパリン類似物質)も対象です。
詳しくはこちら
▶ヒルドイドは保険適用外になる?いつから・いくら上がるのかを看護師が解説【2027年3月】
この記事の制度・診療報酬に関する内容は2026年9月6日確認時点の情報です。
診療報酬は改定されることがあり、実際に保険が適用されるかどうかは処方する医師の判断や、加入している保険者によって変わります。ご自身・ご家族のケースについては、必ず主治医・薬剤師・お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
要介護4の祖母と同居しながら、子ども3人(0歳・年長・小1)を育てている看護師ママです。育児と介護が重なる「ダブルケア」を7年続けています。
祖母の栄養のことばかり考えて、自分の食事はあとまわしになりがちな毎日です。そんな私自身の「元気の源」についても書きました。
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