世帯分離で介護費用はどう変わる?手続きとデメリットも解説

世帯分離 介護のお金・制度

介護費用の記事で「世帯分離をしています」と書いたところ、詳しく知りたいという声がありそうだったので、1本にまとめました。

わが家は祖母と同居していますが、住民票の世帯は別々です。正確に言うと「分離した」のではなく、同居を始めるときに世帯を一緒にしませんでした。この記事では、世帯を分けておくと何が変わるのか、手続きのやり方、そして注意点をまとめます。

祖母の在宅介護は、第一子が生まれた2019年から。いまは子ども3人を育てながら続けています(要介護1→現在は要介護4)。看護師として、2013年から2026年3月まで総合病院で働いていました。この記事は、その体験をもとに書いています。
プロフィール

世帯分離とは

世帯分離とは、同じ家に住んだまま、住民票の「世帯」を分けることです。引っ越しは必要ありません。生活は今まで通り一緒で、書類の上の世帯だけが「親世帯」と「子世帯」に分かれます。

前提としてひとつ大事なことがあります。世帯分離は「生計(家計)を別にしている」ことが条件の手続きです。介護費用を安くするための制度ではないので、そこは誤解のないように。

なぜ介護費用が変わるのか

介護保険の負担額には、「本人の所得」ではなく「世帯の所得」で決まるものが多くあります。働いている子ども世代と同じ世帯だと、親本人の収入が年金だけでも「所得のある世帯」として判定されてしまうんです。

世帯を分けて親が単独世帯になると、親本人の所得だけで判定されるようになります。年金収入が少なければ「住民税非課税世帯」になり、次のようなものが変わる可能性があります。

  • 介護保険料:世帯の課税状況で段階が決まるため、下がる場合がある
  • 高額介護サービス費の上限額:月の自己負担上限が非課税世帯の区分に下がる
  • 施設やショートステイの食費・居住費:負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)の対象になり得る
  • 後期高齢者医療の保険料や窓口負担の判定

介護サービスの自己負担割合(1割・2割・3割)も本人の所得と世帯の状況で決まります。詳しくはこちらに書きました。
介護保険負担割合証とは?7月に届いたら確認すること3つ

わが家の場合

実はわが家は、「世帯分離の手続きをした」わけではありません。
祖母との同居を始めるとき、住民票の世帯を一緒にしなかった。それだけです。

結果として祖母はずっと単独世帯のまま。祖母の収入は年金だけなので住民税非課税世帯となり、介護サービスの負担割合は1割、高額介護サービス費の上限も非課税世帯の区分(月24,600円)で判定されています。世帯を一緒にしていたらどうなっていたかは、正直わかりません。でも「合わせなかったおかげで、分ける手続きも要らなかった」のは確かです。

つまり入り口は2つあります。すでに同居していて世帯が一緒の方は「分ける手続き(世帯分離)」、これから同居する方は「最初から一緒にしない」。どちらも、生計が別々であることが前提です。これから親との同居を考えている方は、世帯を合わせる前に一度立ち止まってみてください。

手続きのやり方

手続き自体はシンプルで、市区町村の窓口に「住民異動届(世帯変更届)」を出すだけです。

  • 届出先:市区町村の住民票の窓口
  • 持ち物:本人確認書類など(自治体によって異なるので事前に確認を)
  • 費用:無料

わが家は同居のときに世帯を合わせなかったので、分離の届出そのものは経験していません。必要な持ち物や細かい流れは、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。

ひとつ注意点があります。窓口で理由を聞かれたときに「介護費用を安くしたいから」と答えると、受理されないことがあります。世帯分離はあくまで「生計を別にしている」ことが前提の手続きだからです。実際に家計が別々(親の年金は親の生活費・介護費に使っている等)であることが大切です。

デメリット・注意点

いいことばかりではありません。調べる中で知った注意点です。

  • 国民健康保険料が上がる場合がある:世帯ごとにかかる分(平等割)が2世帯分になるなど、逆に高くなるケースも
  • 世帯での合算ができなくなる:高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算制度は同一世帯で合算するため、分けると合算できない
  • 会社の健康保険の扶養や家族手当に影響することがある:勤務先の条件を確認
  • 親の証明書類の取得に委任状が必要になることがある:別世帯になると、住民票などを代理で取るときに手間が増える

なお、税金の扶養控除は住民票の世帯とは別の話です。「生計を一にしている」と認められれば、世帯分離をしていても扶養控除を受けられる場合があります(詳しくは税務署で確認してください)。

まとめ

  • 世帯分離は、同居のまま住民票の世帯を分けること
  • 介護保険の負担は「世帯の所得」で決まるものが多く、親が単独世帯になると変わる場合がある
  • 手続きは市区町村の窓口で。ただし「生計が別」であることが前提
  • 国保料が上がるなど逆効果のケースもあるので、事前に窓口やケアマネさんに相談を

毎月の介護費用の実額はこちらにまとめています。
在宅介護は月いくら?要介護4の祖母の実際にかかった介護費用

制度情報について

この記事の制度情報は2026年7月時点のものです。

世帯分離は住民票上の手続きで、介護費用が実際に安くなるかどうかは、世帯の所得状況や利用しているサービスによって異なります。また、健康保険の扶養や税の控除など、介護以外の制度に影響が出る場合があります。手続きの前に、必ずお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。