朝の4時。
扉をドンドン叩く音で起こされました。
「◯◯ー、◯◯ー」
母の名前を呼ぶ、祖母の声でした。
これは、在宅介護がはじまってまだ1ヶ月頃の話です。
▶プロフィール
「使えるか確かめようと思って」朝4時の出来事
何事かと思って部屋を出ると、
炊飯器の前に立っていました。
「光ってるのが消えん」
そう言われて、炊飯器を見ると、
たしかにボタンが押されていて、表示が変わっていました。
「なんで触ったの?」と聞くと、
「使えるか確かめようと思って」
と、普通のことのように言われました。
まだ朝の4時です。
私は眠くて、正直イライラしていました。
でも、祖母にとっては
「気になったから確認した」だけのこと。
悪気はないのは分かっていました。
眠れない日が続くと、余裕がなくなる
こういうことが、
一度ではなく、何度もあります。
朝方に起こされること。
夜中に物音で目が覚めること。
テレビの音を目一杯上げられて、
目が覚めることもありました。
眠れない日が続くと、
それだけで余裕がなくなっていきます。
日中はまだ0歳の子どもがいて、
休む時間なんてほとんどありません。
「少しでも眠れるときに寝たい」
そう思っても、
その“普通のこと”ができませんでした。
祖母にとっては、
時間の感覚もあいまいで、
「今が朝か夜か」
それすら分からないこともあったと思います。
だから、責めることはできない。
でも、しんどいものはしんどい。
あの頃は、
寝不足と、イライラと、
どうにもできない状況の中で、
少しずつ余裕がなくなっていきました。
なぜ、夜中や朝方に起きてしまうのか
認知症になると、体内時計がうまく働かなくなって、昼と夜の区別がつきにくくなることがあります。
昼間にうとうとする時間が増えると、夜に眠れなくなる。
夜に眠れないから、夜中や朝方に動き出す。
祖母の「朝4時の行動」も、本人にとっては昼間と何も変わらない、普通の行動だったのだと思います。
看護師なので、知識としては知っていました。
でも、「理由が分かること」と「しんどくないこと」は、別の話でした。
理由が分かっても、眠れないものは眠れません。
私たちがしていた対策は、ベビーゲート
あの頃、私たちがしていた対策は、ベビーゲートでした。
寝室の入り口に置いて、
自分たちの寝る場所だけは守るようにしていました。
完全に防げるわけではないけれど、
それだけで少し違いました。
それから、これは後になってからですが、うちはショートステイも使うようになりました。
介護する側が「朝まで起こされない夜」を作ることも、立派な対策のひとつだと、今は思います。初めて使った日のことは、こちらに書いています。
▶ショートステイを初めて使った日|罪悪感と、楽さと、「おかえり」
夜のことは、夜だけで解決しようとしなくていいと思います。
夜中の行動や昼夜逆転は、ケアマネさんに伝えると、デイサービスで日中の活動を増やすなど、プランの調整を考えてくれることがあります。「夜のことだから相談しても仕方ない」と、抱え込まないでください。
今は寝たきり。皮肉だけど、夜は眠れる
祖母はその後、
転倒を繰り返すようになりました。
そして、動けなくなり、
今は寝たきりです。
皮肉なことに、
夜中に起こされることは、もうありません。
寝たきりになったことで、
自分たちが困ることはなくなりました。
世話をする側の負担は、
本当は増えているはずです。
それでも正直に言うと、
今のほうが楽だと感じる部分があります。
それは、夜、
ちゃんと眠れるようになったからだと思います。
もし今、夜中に起こされてしんどい人へ
今振り返ると、
「よくやっていたな」と思う反面、
「そりゃ限界にもなるよな」とも思います。
もし今、
同じように夜中や朝方に起こされて、
しんどいと感じている人がいたら、
それは、あなたが弱いからではありません。
ちゃんと寝られない状況が、
しんどくないわけがありません。
眠れない日が続くのは、心と体からの「限界のサイン」かもしれません。
▶在宅介護に向いている人・向いていない人|「向いてない私」が7年続けてわかったこと
▶ダブルケアが限界だった私が手放してよかったこと6つ|宅配食・洗濯機・ショートステイ
1歳、年長、小1の元看護師ママです。私の今までのダブルケアの記録を全13話でまとめています。
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