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在宅介護に向いている人・向いていない人|向き不向きより、余裕があるかどうか

向き不向きより余裕があるか 在宅介護 介護の日々のこと
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在宅介護が始まるとき、
「自分にできるだろうか」
「私には向いていないんじゃないか」
そう考える方は多いと思います。

私は祖母の在宅介護を7年続けています。

始めるときは、「自分ならできる」と思っていました。看護師として働いていたこともあり、なんとかやっていけるだろうと思っていたんです。

でも、実際に始まってみると、思っていたよりつらいことがたくさんありました。

穏やかに話を聞けない日がありました。
「どうして私ばかり」と思ったこともあります。
ショートステイを利用することに罪悪感を持って、ひとりで抱え込んだ時期もありました。

でも今は、向き不向きの問題ではなかったと思っています。

祖母に優しくできた日は、たいてい余裕があった日でした。
反対に、優しくできなかった日は、だいたい眠れていない日でした。

夫や介護サービスに頼って、やらなくていいことを手放して、その余裕をなんとか作ってきた。続けてこられた理由は、それだけだと思っています。

在宅介護の向き不向きは、その人の優しさや我慢強さでは決まりません。

介護される方の状態、家族構成、住まい、使えるサービス、仕事、子育て、お金。いくつもの条件が重なって、余裕があるかどうかが決まります。

この記事では、「在宅介護に向いている人」を決めるのではなく、7年間で感じた「在宅介護を続けやすい条件」と「今のままでは苦しいサイン」をまとめます。


祖母の在宅介護は、第一子が生まれた2019年から。いまは子ども3人を育てながら続けています(要介護1→現在は要介護4)。看護師として、2013年から2026年3月まで総合病院で働いていました。この記事は、その体験をもとに書いています。
プロフィール

向き不向きより、余裕の問題

在宅介護に向いている人というと、

  • 優しい人
  • 我慢強い人
  • 介護の知識がある人

そんな人を思い浮かべるかもしれません。

でも、実際に続けるうえで大きいのは、その人がどんな性格かよりも、余裕が残っているかどうかでした。

どれだけ優しくても、24時間休めなければ限界がきます。

介護の知識があっても、仕事や子育てと重なれば回らないことがあります。

反対に、「私には向いていない」と感じていても、人やサービスに頼りながら続けられることもあります。

向いているか、向いていないか。
その二択で自分を評価する必要はないと思っています。

在宅介護を続けやすい4つの条件

① 気持ちを出せる場所がある

介護をしていると、きれいな気持ちだけではいられません。

腹が立つこともあります。
逃げたいと思うこともあります。
家族だからこそ、人には言いにくい感情を抱くこともあります。

そんな気持ちを抱くこと自体が、介護に向いていない証拠ではありません。

大切なのは、その気持ちをひとりで抱え続けないことです。

私はつらかったとき、夫にとにかく話していました。ここには書けないような「黒い気持ち」も、たくさん聞いてもらいました。

家族や友人に話しにくければ、ケアマネジャーでも、日記でも、匿名で書ける場所でもいいと思います。

気持ちを出せる場所があるだけで、介護との距離が少し変わります。

② 介護から離れる時間がある

在宅介護を続けるには、介護をしない時間が必要です。

趣味、仕事、買い物、子どもと過ごす時間。何でも構いません。

私の場合は、子育てと仕事に救われていました。

子どもたちと過ごす時間は忙しかったのですが、介護とは違う自分でいられる時間でもありました。

仕事へ行けば、家族を介護する私ではなく、看護師として過ごせました。

介護者が休むことは、さぼることではありません。

デイサービスやショートステイを使って介護から離れる時間をつくることも、在宅介護を続けるために必要なことだと思います。

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③ 「全部きちんとやる」を手放せる

認知症の方には、否定せずに寄り添いましょう。
栄養バランスのよい食事を用意しましょう。
清潔を保ち、こまめに体調を確認しましょう。

どれも大切なことです。

でも、家族が24時間、毎日、すべてを理想どおりに行うことはできません。

私も最初は、「家族だから私がやらなければ」と思っていました。

でも、仕事と子育てもある中ですべてをきちんとしようとすると、私自身がもたなくなります。

安全や体調に関わることは確認する。
それ以外は、できない日があってもいい。

何を守って、何を手放すかを決められることが、在宅介護を続けるうえでは大切でした。

④ 人やサービスに頼れる

在宅介護は、家族だけで完結させる必要はありません。

ケアマネジャー、デイサービス、訪問看護、ショートステイ。頼れる人やサービスがあります。

私はショートステイを利用することに、長い間抵抗がありました。祖母を預けて自分たちだけで過ごすことを、悪いことのように感じていたからです。

でも、介護者が疲れ切ってしまえば、家で穏やかに過ごすことも難しくなります。

わが家では、頼ることで在宅介護を続けられました。

今のままでは苦しいサイン

次の状態に当てはまるからといって、介護者として向いていないわけではありません。

ただ、今の介護の形では負担が大きすぎるのかもしれません。

自分を責めるためではなく、「そろそろ形を変えたほうがよさそう」という目安として読んでもらえたらと思います。

① 眠れない、食べられない日が続く

眠れない日や食欲がない日は、誰にでもあります。

でも、それが続いているなら、「もっと頑張らなければ」と考える前に、助けを求めてほしいです。

私も、介護がつらくて眠れなくなったことがあります。

続けることよりも、介護者の心と体を守ることが先です。

② 「介護のせいで」しか浮かばない

「介護があるから、やりたいことができない」

そう思うことは、悪いことではありません。

介護があることで、実際にできなくなることはあります。

私も気軽に遠出できなくなりました。3人目の子どもを考えるまでに時間がかかりましたし、最終的には介護と育児の条件が重なって仕事を辞めました。

だから、「介護のせいで」と思うこと自体が悪いとは思いません。

家にいなければならないなら、家での時間を充実させよう。
ショートステイを利用できるときは、子どもたちと思い切り遊ぼう。

そんなふうに、そのときにできることを探してきました。

いつも前向きに考えられたわけではありません。

今ふり返ると、そんなふうに考えられたのは、余裕があったときだけでした。

眠れていて、ひとりになれる時間があって、頼れる先があるとき。

「介護のせいで」しか浮かばないときは、たいてい、その余裕がなくなっていました。

気持ちを変えようとするより先に、休める時間を作ることのほうが早かったと思います。

デイサービスを増やせないか。
ショートステイを利用できないか。
家族に任せられることはないか。

変えるのは考え方ではなく、負担のかかり方かもしれません。

③ 介護から離れる時間がまったくない

買い物に行く。
眠る。
誰にも呼ばれずにごはんを食べる。

それだけでも構いません。

介護から離れる時間がまったくない状態は、介護者の努力で乗り切る問題ではありません。

サービスを増やしたり、家族と分担したりすることを相談するサインです。

④ 「自分がやらなければ」が消えない

責任感が強い人ほど、自分で全部やろうとしてしまいます。

私も、人に頼ることが苦手でした。

でも、ひとりでできる介護には限界があります。

介護者が倒れてしまえば、それまでの生活を続けることもできません。

頼ることは、無責任になることではありません。

誰かに任せられる部分をつくることも、家族としてできる介護のひとつだと思います。

⑤ 家族が変わる姿がつらい

できていたことが、できなくなる。
話が通じなくなる。
排泄の失敗が増える。

「あんなにしっかりした人だったのに」と、受け入れられないこともあります。

在宅介護では、その変化を毎日見ることになります。距離が近いぶん、負担も大きくなります。

でも、それは在宅介護に向いていないからではありません。

悲しい、戸惑う、受け入れられない。そう感じるのは、家族として自然なことだと思います。

気持ちの整理には時間がかかります。

無理に前向きになろうとせず、誰かに話しながら受け止めていけばいいと思います。

向いていない部分も、できた部分もあった

私には、介護に向いていない部分がたくさんあります。

ひとりで抱え込むところ。
正解を求めすぎるところ。
余裕がなくなると、優しくできなくなるところ。

優しくできなかった日がありました。
祖母を汚いと思った時期もありました。
自分ばかりが我慢しているように感じて、夫に感情をぶつけたこともあります。

その一方で、私だからできた部分もあると思っています。

祖母の小さな変化に気づけたこと。

顔色、呼吸、食欲、排泄、いつもと違う反応。看護師として働いてきた経験は、この部分で役に立ちます。

問題が起きたときに、どうすれば生活を続けられるかを考えられたこと。
必要なサービスを調整しながら、育児と仕事と介護を回してきたこと。

だから私は、向いていた・向いていなかったのどちらかではありません。

向いていない部分もあった。
私だからできた部分もあった。

夫や職場、介護サービスに助けてもらいながら、その両方を抱えて7年続けてきました。

私が介護に向く人へ変わったのではなく、介護の抱え方を変えてきたのだと思います。

そして、私には最初から決めていたことがあります。

「子どもたちが幸せでなくなるなら、介護はしない」

祖母を大切にすることと、子どもたちや自分たちの生活を守ること。どちらか一方だけを選ぶのではなく、両方を守れる範囲で続けてきました。

在宅介護を続けること自体が、目的ではありません。

介護の形は、変えていい

「自分は在宅介護に向いていない」

そう思ったとき、自分を責める必要はありません。

今の介護の形が、その人や家族の生活に合わなくなっているだけかもしれません。

まずはケアマネジャーに、

  • 夜に眠れていない
  • 食事を取る時間がない
  • 家族に強く当たってしまう
  • 介護から離れる時間がない
  • これ以上は続けられないと思っている

と、具体的に伝えてほしいです。

ケアマネジャーに相談しにくい場合や、まだ担当者がいない場合は、市区町村や地域包括支援センターでも介護について相談できます。

福祉・介護に関する相談窓口(政府広報オンライン)

眠れない、食べられない、気持ちが沈んだ状態が続いている場合は、介護の相談だけでなく、かかりつけ医や心の相談窓口につながることも考えてください。

こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省)

続けない選択肢も、調べていい

在宅介護が苦しくなったとき、すぐに「施設へ入れなければ」と決める必要はありません。

その一方で、施設を調べることを後ろめたく思う必要もないと思います。

祖母が脳梗塞で倒れたあと、私も施設について少し調べました。本格的に入居を検討したわけではなく、インターネットで検索した程度です。

最終的には、祖母を家へ連れて帰ることを選びました。

それでも、どのような選択肢があるのかを知ったうえで在宅を選べたことは、無駄ではありませんでした。

資料を見る。
費用を確認する。
見学できる施設を探す。

調べたからといって、入居を決める必要はありません。

「家で続けられなくなったら、次がある」と知っておくことが、在宅介護を続ける支えになることもあります。

必要な日だけ介護を頼みたい場合

介護保険のサービスだけでは足りないとき、保険外の介護サービスを利用する方法もあります。

※私は、下記のサービスを実際に利用した経験はありません。介護保険外で頼める選択肢の一例として紹介しています。

24時間365日対応の介護保険外のオーダーメイド介護サービス【イチロウ】

施設について調べたい場合

私自身は、施設検索サービスを利用して入居を決めた経験はありません。

今すぐ入居するためではなく、地域にどのような施設があって、どれくらいの費用がかかるのかを知るために調べる方法もあります。

笑顔で暮らせる住まいがきっと見つかる【いい介護】

まとめ

在宅介護に向いている人、向いていない人を、性格だけで分けることはできません。

続けやすさを左右するのは、

  • 気持ちを出せる場所があるか
  • 介護から離れる時間があるか
  • 「全部きちんとやる」を手放せるか
  • 人やサービスに頼れるか

こうした条件がそろって、余裕が残るかどうかだと思います。

向いていないと感じたら、自分を変えようとする前に、介護の抱え方を変えていい。

サービスを増やしてもいい。
家族に任せてもいい。
施設について調べてもいい。

在宅介護を続けることだけが、正解ではありません。

介護される人も、介護する人も、一緒に暮らす家族も。できるだけ穏やかに過ごせる方法を選ぶことが大切だと思っています。


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