9|妊娠中、私は祖母に優しくできなかった

ダブルケア体験記 妊娠中、私は祖母に優しくできなかった ダブルケア

なめていた私のダブルケア 第9話
ー子育てと在宅介護が同時に始まった、私のダブルケアの記録ー
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月日が流れ、
お腹には三人目の子が来てくれた。

仕事と育児、そして祖母の介護。
そこに妊娠が重なった。

つわり。眠気。恥骨痛。こむら返り。

お腹が大きくなるにつれて、
祖母のおむつ交換や
車椅子への移乗介助は一苦労だった。
お腹が張ることも増えていった。

私は、
なんとか踏ん張り、
産休までの日数を数えていた。


産休にはいった。

ホルモンバランスが崩れて、
感情はぐちゃぐちゃだった。

理由もなく涙が出る日もあった。

そして私は、
だんだん祖母に優しくできなくなっていた。

イライラして、
目も合わせられない。

声もかけられない。

最低限の世話だけして、
布団も、投げるようにかけてしまう。

そんな日が続いていた。

毎日のように夫にこぼしていた。

「ばあちゃんに優しくできない」

もうすぐショートステイがある。

それまで、
なんとか頑張ろう。

そう思いながら、
大きなお腹を抱えて
祖母のおむつ交換へ向かった。


オムツを替えようとしたとき、
祖母の脚がきゅっと内側に力が入った。

開かない。

その瞬間、
胸の奥に溜まっていたものが
一気にあふれた。

祖母の脚を、
思わず強い力で外側に開かせた。

「痛い!」

祖母が叫んだ。

その声で、
涙があふれてきた。

それでも、
すぐに力を緩めることができなかった。

「痛い!痛い!」

その声に、
子どもたちが気づいた。

「ばあちゃんどうしたの!?」

駆け寄ってくる足音。

その瞬間、
はっとした。

私は、
なにをしているんだろう。

「ばあちゃん、痛かったみたい。
大丈夫?」

私はそう言って、
取り繕った。

でも、心の中では
わかっていた。
ダブルケアの限界なのかもしれない。

このままじゃいけない。

ショートステイの間に、
自分の気持ちを整えなければ。

そう思っていた。


この記事は「なめていた私のダブルケア」第9話です。

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10|ショートステイから戻らなかった言葉

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